私は内装職人として20年以上、現場でお客様の要望を直接伺いながら床を張り替えてきました。よく「クッションフロアは安い素材なのに、どうしてリフォーム代が10万円もするの?」という質問を受けます。職人の本音を言わせてもらえば、その費用のほとんどは「目に見えなくなる場所」への情熱と責任の対価です。クッションフロアという材料自体は、確かにリフォーム素材の中では最も安価な部類に入ります。しかし、それを和室に導入する場合、単に畳をどかして敷けばいいわけではありません。まず、古い畳を処分するだけでも、私たちは重い荷物を運び出し、環境に配慮した適切な処理場まで運搬します。この手間だけで数時間は取られます。そして、最も技術を要するのが下地の調整です。畳を剥がした後のコンクリートや木の下地は、100パーセントと言っていいほどデコボコしています。私たちは下地用のパテを練り、小さな隙間や段差を何度も塗り重ねてはサンダーで削り、鏡面のように平らな面を作ります。この工程をサボれば、完成したときはきれいに見えても、数ヶ月後には下地の筋が表面に浮き出てきてしまいます。また、クッションフロアの「継ぎ目」の処理にもこだわりがあります。6畳間だとどうしても2枚のシートを繋ぎ合わせる必要がありますが、私たちは柄が1ミリもズレないように慎重に合わせ、溶着剤を使って接合部を物理的に一体化させます。これにより、水が入り込んで剥がれるのを防ぐのです。このように、私たちが提示する10万円から15万円という費用には、お客様が今後10年、15年と安心して歩き、掃除をし、時にはその上で転んでしまっても怪我をしないような、安全で確実な住まいを提供するという約束が含まれています。安い業者を探すお気持ちはよく分かりますが、どうか「誰がどのように下地を作ってくれるのか」に目を向けてみてください。一度張ってしまえば見えなくなる下地の丁寧さこそが、本当の意味でのコストパフォーマンスを決定づけるのです。私たちは、そのプライドを持って毎日の現場に立っています。
職人が語る畳からクッションフロアにする費用の内訳