玄関は住まいの第一印象を決定づける重要な場所であり、ここを和モダンにリフォームすることは、家全体の質を高めることに直結します。今回、多くの住宅を手掛ける建築家に、和モダンな玄関作りの極意を伺いました。建築家がまず指摘したのは床の素材感です。玄関土間には、御影石や玄昌石といった天然石、あるいはそれらを忠実に再現した大判の磁器質タイルを敷くことで、重厚感のある和の雰囲気が生まれます。タイルを斜めに貼るなど、少し動きを持たせることでモダンな印象を強めることができると言います。次に重要なのが、収納と飾りのバランスです。生活感の出やすい靴箱は、あえて天井まで届く壁面収納にし、扉を縦格子のデザインやシンプルな木目調で統一することで、壁と一体化させます。その一部に、ニッチと呼ばれる飾り棚を設け、そこに季節の花や1点の陶芸作品を飾り、上部からピンポイントでスポットライトを当てれば、そこはさながら現代の床の間のような美しい空間になります。また、玄関から室内へのアプローチに木製のルーバーや障子モチーフの引き戸を配することで、外の世界と私的な空間を優しく区切る日本的な間の感覚を演出できると建築家は語ります。照明については、夜間に帰宅した家族を優しく迎えるよう、足元を照らす間接照明を推奨しています。框の下に仕込んだ光が床面を照らし出すことで、玄関が広く、浮遊感のある空間に見える効果があります。さらに、壁の一部に名栗加工を施した木のパネルを貼れば、その独特な削り跡が触感的な豊かさを提供してくれます。玄関リフォームにおいて大切なのは、機能性を追求しながらも、訪れる人が一瞬立ち止まってその美しさを感じるような、静寂とおもてなしの心を感じさせるデザインにあります。最新のスマートキーなどを導入して利便性を高めつつ、視覚的には伝統の美を継承する。そんな調和のとれた和モダンな玄関こそが、住まいの品格を物語る最高の顔となるのです。建築家はさらに、香りの演出についても助言してくれました。玄関に杉や檜の香りがほのかに漂うように素材を配置すれば、視覚だけでなく嗅覚からも和の情緒を感じることができ、帰宅するたびにリラックス効果が得られると言います。細部にまでこだわった和モダン玄関は、家族の帰りを楽しみにさせ、客人を温かく迎えるための最高の舞台となります。