長年住宅設計に携わってきた建築家の視点から、これからの時代に求められるリフォームで部屋を増やす考え方について伺いました。かつては、一度作った壁は一生そのままという固定的な考え方が主流でしたが、現代では家族のライフステージに合わせて柔軟に間取りを変えられる可変性が重要視されています。例えば、リフォームで部屋を増やす際、最初から頑丈な壁を作ってしまうのではなく、可動式の家具やパーテーション、あるいは天井から吊るす引き戸を使って仕切るという手法があります。これならば、子供が小さいうちは1つの大きな空間として遊び場を確保し、中高生になってプライバシーが必要になったら仕切りを閉めて2部屋にし、子供が独立した後は再び開放して趣味の広い空間に戻すといったことが、工事を伴わずに自分たちで可能になります。また、部屋を増やすために増築を選択する場合でも、将来的に減築してバリアフリーの庭に戻せるような設計手法もあります。建築家が提唱するのは、家を完成品として捉えるのではなく、常に変化し続けるプロセスとして楽しむという価値観です。リフォームで部屋を増やす際も、その時々のニーズを満たすだけでなく、10年後、20年後の家族の形をシミュレーションし、どのような変化にも対応できる余白を残しておくことが賢い設計と言えます。素材選びについても、将来の変更が容易な乾式工法を採用したり、配線や配管をメンテナンスしやすい場所にまとめたりすることが、家全体の寿命を延ばすことにも繋がります。さらに、部屋を増やすことで失われるかもしれない庭の緑や、リビングの明るさをいかに代替するかという点にも、建築家の知恵が活かされます。天窓の設置や、鏡を使った視覚的な広がりなど、数値上の面積以上の豊かさを生み出すテクニックが豊富にあります。家に対する愛着を持ち続けるためには、自分たちのライフスタイルに家を合わせていく能動的な姿勢が不可欠です。リフォームで部屋を増やすという行為を、住まいとの対話の機会と捉え、変化を恐れずに新しい暮らしの形を模索してほしいと建築家は語ります。
建築家が語る可変性のある部屋を増やすリフォーム