今回は、古い建物の持つ魅力を最大限に引き出すリノベーションの名手として知られる建築家、佐藤氏にお話を伺いました。佐藤氏は「新築はゼロから1を作る作業ですが、リフォームは既存の10を100に高める芸術的な作業です」と語ります。昨今の住宅市場では、スクラップ・アンド・ビルドの時代から、良いものを長く使うストック活用の時代へとシフトしています。佐藤氏がリフォームにおいて最も重視するのは、その家が刻んできた時間の痕跡、いわゆる「古美る(ふるびる)」美しさです。新築の木材にはない、数十年かけて乾燥し強さを増した古い梁や柱は、現代の建材では到底再現できない力強さを持っていると言います。一方で、性能面での妥協は一切許さないのがプロの流儀です。「見た目だけを和風やモダンにするリフォームは本物ではありません。新築と同等、あるいはそれ以上の耐震性と断熱性能を担保して初めて、その建物は次の世代へと引き継がれる価値を持ちます」と佐藤氏は強調します。インタビュー中、佐藤氏は1つの事例を紹介してくれました。それは築50年の古民家を、最新の全館空調システムを備えたアトリエ兼住宅へと再生させたプロジェクトです。外観は周囲の景観に溶け込む昔ながらの瓦屋根を維持しつつ、内部には大開口の窓を設け、光と風が通り抜ける現代的な空間を実現しました。施主からは、新築にはない落ち着きと、最新住宅の利便性が同居する不思議な充足感があると感謝されたそうです。佐藤氏は最後に、リフォームを検討する人々へこうアドバイスしました。「新築という言葉の響きに惑わされず、まずは足元にある家の可能性を信じてみてください。建築家の役割は、その家の潜在的な美しさを発見し、現代の暮らしというスパイスを加えて、新しい物語を始める手助けをすることなのです」。もし今、予算で悩んでいる方がいるなら、下準備さえしっかり行えば、クッションフロアは初心者に最もおすすめできるリフォーム素材だと伝えたいです。
建築家へのインタビュー住宅再生の魅力